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「初」でも「戻り」でもない? 春の味覚「もちガツオ」に異変(産経新聞) – Yahoo!ニュース

和歌山県南部の人たちが愛する春の味覚に「もちガツオ」がある。餅のようにもちもちと弾力があるのが特徴。漁獲から数時間以内のカツオのうち、こうした食感のものを呼んでおり、数も限られる。しかし、県内のカツオ漁の水揚げは減少傾向にあり、主要3港ではピーク時の5分の1程度にまで落ち込む「異変」に見舞われている。地元に出回るもちガツオも減っており、関係者は「この味を残していきたい」と願う。(張英壽)

【図でみる】「黒潮大蛇行」のイメージ

 ■身を切って初めてわかる

 1月中旬、大阪から和歌山県田辺市を訪れ、居酒屋で初めて「もちガツオ」という言葉を耳にした。カツオといえば、「初ガツオ」や「戻りガツオ」ぐらいしか言葉を知らず、興味をそそられた。

 居酒屋では、刺し身かタタキかを選ぶように言われ、タタキを注文。タタキはもちもちとしており、独特の歯応えだった。隣に座った常連とみられる客は刺し身をほおばり、「これはもちガツオや」などと感嘆していた。

 「もちガツオ」とは何か。県南部のリゾート地として知られる白浜町の町商工会ホームページには、「釣ってから約4~5時間以内のもの(カツオ)」で、「身に脂肪分が少ない為(ため)、弾力があり、まるでつき立ての餅のような食感から、その名がつきました」とある。新鮮なだけではだめで、身にこの弾力がなければならない。カツオを見ただけでは判別できず、漁業や飲食店の関係者も身を切ってみないとわからないと口をそろえる。刺し身が絶品で、紀伊半島沖のカツオが水揚げされる紀南地域ならではの味だ。

 カツオは赤道付近から北上し、春に黒潮に乗って九州から四国、紀伊半島、関東沖に達する。この時期のカツオは「初ガツオ」だが、和歌山県南部では取れ立てで、食感のいいものを「もちガツオ」と呼んでいる。旬は3~5月だが、そのほかの時期でも味わえるという。

 ■「黒潮大蛇行」が一因

 ただ、その「もちガツオ」を生み出す県内のカツオ漁は元気がない。

 県水産試験場がまとめた県内主要3港の水揚げ量(ひき縄漁)によると、ピーク時の平成12年は1957・5トンだったが、30年には14分の1となる138・6トンにまで減少。昨年は372・4トンとやや持ち直したものの、それでも12年の5分の1だ。

 農林水産省の海面漁業生産統計調査によると、カツオの全国漁獲量も減少傾向にあり、近年のピークの17年から30年にかけては33%減。カツオはなぜ減っているのか。

 試験場の山根弘士主査研究員は「正確な原因はわからないが、『黒潮大蛇行』が一因とみられる」と指摘する。

 気象庁や海上保安庁によると、黒潮大蛇行とは、本来、日本列島付近の太平洋を通る黒潮の流れが紀伊半島付近で大きく南に蛇行し、「ひ」の字形を描く現象で、29年から現在まで続いている。カツオは黒潮に乗ってやって来るため、水揚げ量への影響が考えられる。

 黒潮大蛇行は過去にもあり、近年では16~17年に発生したが、水揚げ量減少は正常な黒潮の流れのときでも続いている。

 山根主査研究員は「黒潮大蛇行だけでは説明がつかない」といい、「日本列島沖に来遊するカツオが減っているのは間違いない。カツオは赤道付近で産卵し、北上するが、ルート上に低温など何らかの阻害要因があるかもしれない」と推測する。

 ■漁師はどうやって生活

 和歌山の漁師はどんな思いなのか。県内のカツオ漁は「ケンケン漁」と呼ばれ、船を走らせながら疑似餌をひく方法で行われている。

 18歳からケンケン漁を続けているすさみ町の男性(81)は「昭和30年代には1回の漁で800キロから1トンほど取れたが、今は50~60キロが普通。漁師は高齢化し、後継者が不足している」と打ち明ける。

 すさみ町にある和歌山南漁協すさみ支所の担当者も「昔に比べると水揚げは減った。漁師はどうやって生活しているのかと思う」と心配し、「カツオ漁の水揚げを増やし、『もちガツオ』をもっと広げたい」と話す。

 冒頭で紹介した居酒屋は「とっくり」という店で、「もちガツオ」を出す飲食店として地元では有名だった。店主の小山勇さん(79)は「何十匹のカツオの中でもいいものがあり、それが『もちガツオ』。昔に比べたら入荷する量は何分の1かに減ってしまったが、ぜひ残していきたい」と力説した。

 「もちガツオ」という言い方は浜松市にもある。和歌山県と同様に、取ってから5時間程度のもので、餅のような食感だ。市によると、旬は3~6月で、遠方への出荷が難しく、地元で消費されているが、東京などから新幹線に乗って食べにくる食通もいる。

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